*

街道をゆく 18 越前の諸道 (朝日文庫) / 司馬遼太郎

公開日: : 読書

街道をゆく 18 越前の諸道 (朝日文庫) 街道をゆく 18 越前の諸道 (朝日文庫)
司馬 遼太郎
朝日新聞出版 2008-12-05
売り上げランキング : 196486
Amazonで詳しく見る by G-Tools

★★★☆☆

司馬さんの「街道をゆく」シリーズの第18巻。

越前の諸道として川沿いの道(九頭竜川、日野川、足羽川)、海の道(三国湊を中心とした北前船)が紹介されています。

武生は府中と言われ、越前の国分寺が置かれたとか、北前船や丸岡城の話など 3年間ほど福井県民だった私にはなかなか面白かったです。

道元の話で始まっていますが、宋での苦労など本人についてよりも、彼の死後の曹洞宗の大衆化や一向宗との争いについてが詳しいです。

道元の最大の理解者であった中国僧寂円のあんだ宝慶寺に本来の曹洞宗の姿を見ます。

他宗ですが、白山信仰で僧兵8000人を抱え込んだ平泉寺の栄枯盛衰も書かれています。最後は一向宗に倒されます。

一向宗が富樫を倒して「百姓の持ちたる国」になったのに、蓮如の子孫がカネで「門跡」を買い貴族化してしまったために越前の一向宗も一緒に没落・・・

など、この地方での特異な宗教史が明かされます。

斯波氏から国を奪い取った朝倉氏の勢力増加は強かったときの一向宗に阻まれ、弱体化した一向宗とともに信長に滅ぼされてしまいます。

その信長の祖先は越前から室町時代に尾張に流れて行ったと言います。もともとは織田村という焼き物で有名な村出身だったということです。

最後は越前焼(織田焼)の話で、日本最古の技法を彷彿させるその特異な存在、歴史を学ばさせてくれます。

藤田重良右衛門さんの輪積のシーンでこの書は終わりますが、ご本人の輪積作りの徳利がちょうどヤフオクに出品されていました(↓)。

関連記事

###

関連記事

有機化学が好きになる―"カメの甲"なんてこわくない! (ブルーバックス) / 米山正信 安藤宏

有機化学が好きになる―"カメの甲"なんてこわくない! 〈新装版〉 (ブルーバック

記事を読む

言ってはいけない中国の真実 (新潮文庫) / 橘 玲 (2)

言ってはいけない中国の真実 (新潮文庫) 橘 玲 新潮社 2018-03-28

記事を読む

上級国民/下級国民 (小学館新書) / 橘玲

上級国民/下級国民 (小学館新書) posted with amazlet a

記事を読む

日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫) / 竹村公太郎

日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫) 竹村 公太郎 PHP研究所 201

記事を読む

バカでも稼げる 「米国株」高配当投資 / バフェット太郎

★★★☆☆ 自称「1番アンチの多い」投資家のバフェット太郎さんのアメリカの高配当株投資

記事を読む

貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える

★★★☆☆ まだ全部読んでおりませんが、非常に面白い本です。 貧困がどうしてなくなら

記事を読む

なぜあの人は気がきくのか―顧客満足のヒント / 中谷 彰宏

なぜあの人は気がきくのか―顧客満足のヒント 中谷 彰宏 ダイヤモンド社 1998

記事を読む

タダより高いものはない / 上念司

タダより高いものはない (イースト新書) posted with amazle

記事を読む

勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力

勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践 勝

記事を読む

FXトレーディングの真実 / 陳 満咲杜

FXトレーディングの真実 陳 満咲杜 扶桑社 2009-01-31 売り上

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

2025年株式投資 簡単すぎる総括

本日で今年の投資は終わりです。 楽天銀行の現在高は以上の

日本語の教養100 / 今野真二

★★★☆☆ 日本語についての教養本。うんちくエッセイが 10

胸部X線写真の話(2)

昨日の記事「胸部X線写真の話」の続きです。 内科医叩きをやってい

胸部X線写真の話

もう時効だと思うので書きますが、以前に書いたことがあったかも。 又聞

ある甲状腺疾患の話

医師になって放射線科の医局に入って、1年めは大学病院で研修しました。

→もっと見る

  • アクセスカウンター
PAGE TOP ↑