フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方 / 筒井冨美 (2)
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読書
フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方 (光文社新書)
筒井 冨美 |
★★★★☆
前回の投稿「フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方 / 筒井冨美」の続きです。
白い巨塔時代
白い巨塔時代とはこの本では、新研修医制度までの時代を呼んでいます。
研修医にとってはハードワーク、低賃金のつらい時代でしたが、「習うより慣れろ」で実技を素早く身につけるのには適していたように思います。
この頃の大学教授の権威は最高でしたが、医局員にとってはデメリットだけでなく、メリットも多かったですね。
2年間「お客様扱いの見学者」と化している今の研修医諸君を見ていると、若い大事な伸び盛りの時期をムダにしているなあと我々「昭和脳」世代は思うわけです。
著者のフリーランス医師生活
著者は私より7つほど年下の麻酔科女医で 2007年にフリーランスに転向したそうです。
年収は独立初年度で大学病院時代の3倍になり週5日は自宅で夕食、土日はオールフリーという生活になったそうです。
私は放射線科医で 2001年にフリーに転向しましたが、翌々月から月収は勤務医時代の月収を超え、数ヶ月後にはボーナス月の月収(給与+ボーナス)を超えました。年収は勤務医時代の 2.5~4倍というところです。週7日は自宅で夕食はもちろんですね。
医師なら誰でもできるバイト(当直、検診など)をしているフリーター医師の中にも稼いでいる人は多いですが、底辺の仕事(参入障壁が低い)なので競争はきつく、不便な場所にある不人気病院とかに行かなくてはいけない、将来が見えないなど、あまりおすすめできません。
とにかく若いうちは報酬度外視で専門技術を磨いて、専門技術のみで稼げるフリーランス医師となることをお勧めします。
新研修医制度のつぎは新専門医制度
新研修医制度のおかげでひどいことになりましたが、それをやめるどころか、さらにそれに加えて新専門医制度を作ることになりました。
研修医を終えて次のだいじな 3年間にも「お客様扱いの見学者」コースを設定するのだそう。ペーパードライバーをいつまでたっても公道に出さないようにするようなものです。
医師の数は足りているように見えても、乳離れができずにベテラン医の足手まといになっている医師(叱るとすぐにすねるか辞めるか病院に訴えます)が増えているだけです。
現在のこの状況はますますひどくなると思います。
フリーランス医師になるものも増えるのではないでしょうか。
まあ、増えたとしても、フリーランス医師に頼らざるを得ない病院が激増するので、海はまだまだ青いまま(ブルーオーシャン)でしょう。
爺医(じじい)狩り
従来の年功序列に守られて病院の中に働きもせずに巣食っている年配のローパフォーマンス医師や管理職医師を爺医(じじい)とこの本では呼んでいますが、院長爺医を辞めさせる効果的な手段も書いてあります。
院長爺医に求められるのは経営手腕なので、日雇いにするとかして契約更新のたびにどんどん日当を調整します(普通は下がるでしょう、なにもしていなければ)。
院長などいくらでも代わりがいますから、給与はどんと下げられますよね。その分浮いた人件費を、実働してくれている勤務医に手当の形で配るのです。
これで無能な爺医を辞めさせ、優秀な医師の病院離れを防ぐことができます。
昭和脳の院長爺医がいれば経営不振になるばかりか、中堅医師にストレスがかかって病院崩壊のきっかけになるのです。
逆にいうと、医師としての手腕は問わずに、経営手腕の優れた理論的な院長を雇うことが病院存続のために大切です。
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