GDP は国富増加の指標にならない
公開日:
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最終更新日:2016/08/19
マネー
GDP はあてにならない
GDP は国富を測るいい指標になるとは限りません。
私の考えた次の説明ではややわかりにくいかもしれませんが・・・
バブルの例
たとえばどこかの国で、貴重な玉(ぎょく)を持っていた人がいたとします。昔 5000万円で手に入れました。
その年の1月1日に1億円で国内の別の人に売ったとします。
2月1日に別の人に2億円で売り、さらにその次の月はじめに2倍の値段で売れていくということを続けると、12月1日に 2048億円で売れることになります。
そうすると、利益の総額は (0.5+1+2+・・・+1024)億円つまり 2047.5 億円であり、これがこの国の GDP に加算されます。
ところが、12月31日にバブルがはじけて、この玉が 5000万円でも売れなくなったらどうなるでしょうか。
純粋に増えた国富はゼロですね。でも GDP は 2000億円以上増えたことになっているのです。
中国の例
中国では上の例のような投機が盛んであって、土地、株、美術品などを転がして得た GDP がかなり多いわけです。バブルクラッシュで消える可能性の高い部分です。
不動産投資に関して言えば、鬼城と呼ばれる人の住めないマンションを作っても GDP はその分増えますが、純粋に増えた国富とは呼べませんよね。
投機以外の実業の話でも次のような例があります。
供給過剰により鉄鋼価格があまりにも下落したため、鉄鋼を1トン生産したとしてもその利益ではアイスクリーム・コーン 1つさえ買うことができないといいます(中国鉄鋼工業協会による)。この場合も巨額の GDP が計上されます(人件費など含む)が、純粋に増えた国富はアイスクリーム1つ分だけです。
中国の GDP は虚実織り交ぜてこのようなものが他国と比べて非常に多く、純粋に増えた国富は少ないですし、その国富を海外に持ち出す人が山ほどいるわけです。
中国の GDP はさらに集計の途中で二重三重に割増しされています。
GDP は国富を示さない
ということで、「もともと GDP は国富を正確に表す指標ではない」という初歩的なことは肝に銘じておくべきです。
でも案外理解している人は少ないのでは。
中国人の多くは(せっせと国外に持ち出している)支配者たちを除きおそらく理解していないでしょう。
*
以上のことは以下の本を読んでいて考えました。いい本です。
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