Crowned dens syndrome じゃない
公開日:
:
画像診断
以前このような画像が “crowned dens syndrome” の典型像として雑誌や書籍に載っていたのを見たことがあります。
でも解剖の本を見ると、ここにはこんな形状の靭帯はないはず。
同じ人の横断像を見ると、環軸関節(環椎軸椎関節)の環椎側の関節面の骨硬化の辺縁部(軽度の骨棘形成)がこのように見えていることがわかります。
crowned dens syndrome(CDS) の本態は歯突起周囲の靭帯(十字靭帯、翼状靭帯、歯尖靱帯)の偽痛風なのですが、実際によく見られるのは十字靭帯の構成要素である横靭帯のものと思います。
ただし、横靭帯の石灰化や骨化が見られても加齢性の変化であることも多く、頸部痛や頭痛のあるときだけ CDS の可能性を指摘するのがいいと思っています。
crowned について
crown という英単語は名詞以外に他動詞があり、「~の頭に冠を戴かせる」という意味です。
crowned は受動態的用法で、「冠を被せられた」になります。
でも横靭帯に起きた場合は後頭部を覆うような感じになりますから、王冠は変ですね。
「ズレたカツラ」ではあんまりなので、ヘッドレストが適当でしょう。
head-rest に動詞はないようですが、head-rested dens syndrome (あるいは head-rest dens syndrome でもいいか)に改名すべき?
###
関連記事
-
Flex View は Linux で使えない
* 以前こいつの悪口をさんざん書きましたが、今日も書いてしまいます。 こいつ(= Flex
-
一人医長の病院での遠隔画像診断
一人医長の病院での遠隔画像診断は研修指定病院のそれとは事情が異なる 研修指定病院では研修医や大
-
Focal Periphyseal Edema (FOPE) Zone / 膝だけかと思ったら手首にもあるのね
高校生ラガーマン。 舟状骨近位部の骨折の患者ですが、橈骨の骨端線に直行する 2本の線状硬化
-
遠隔画像診断でのストレス
* 遠隔画像診断をやっているときのストレスですが、 所見をつけた症例の結果がわからない
-
画像診断報告書のコピペについて(続)
前回はこちら>画像診断報告書のコピペ 他人の書いた過去所見のコピペが非常識な行為なのか 前
-
遠隔画像診断事業 売上を3倍伸ばした私の方法
* タイトルはちょっと煽ってみました。^^; 答えはここにも⇒ 日中救急症例を受けられる体制
-
これから遠隔画像診断を始める人のために
2010.12.18 本日、大阪で行われたイーサイトヘルスケア社主催のクラウド型遠隔画
-
画像診断を考える・新版 今春発売
* 名著『画像診断を考える』ですが、編者の下野太郎先生 からうれしい連絡をいただきました。
-
所見の書き方 コンテクストについて
肺野では下葉背側に淡い濃度上昇が見られ、重力効果などを疑います。 縦隔・胸壁には特に異常は