韓国の新型コロナウィルス検出キット
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医療
韓国の新型コロナウィルス検査体制について日本のマスコミがよく取り上げていますね。
先日も TVの特集番組でやっていましたが、映っていた自動解析装置はアメリカの Bio-Rad Laboratories社製 CFX96 のようでした。
検出キットは韓国 Kogene Biotech(コジェンバイオテック)社製ですね。
試薬はスイスのロシュ製を使っているという情報を本日目にしました。
つまり、
- 採取キット(綿棒+ケース):韓国製
- 試薬:スイスRoche社製
- 自動解析装置:アメリカ Bio-Rad Laboratories社製
の組み合わせということですね。
日本でも韓国Kogene Biotech(コジェンバイオテック)社製の採取キットを関東化学が取り扱っているというニュースがすでに 2020年3月10日に出ています。関東化学はウィルス精製カラムを自社製造しており、それと組み合わせて売る戦略のもようですね。
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韓国 Kogene Biotech(コジェンバイオテック)社製のキットは単なる検体採取キット(綿棒+ケース)なのですが、この「検査キット」を判定までできるキットと間違えて輸入する国が結構多かったようです。
日本人でも「韓国のキットを輸入しろ」と TV で発言している人がいます。
- 韓国のキットは綿棒+ケースのみの採取キット
- この採取キットはすでに輸入されている
ということを知っていたらそんな発言はしないはずですね。
検体採取キットはほかに日本製のものもありますから、国内需要供給が保たれていればわざわざ輸入する必要はないですね。
日本には国産の自動解析装置もあります(フランスなどに輸出されています)し、試薬も作れるのですが、こういう大流行のときに使うための予備の機材がないし、そのための組織もない。
つまり体制の不備が問題です。
昔、民主党政権時に仕分けで日本の国立感染症研究所の予算を削ったため、日本の感染症対策の主力は民間に移行しているという意見があります。そのためワクチン製作も他国に遅れをとっているという人もいます。
日本も国としてのパンデミック対策組織を日頃から作っておくべきだと思います。WHO が当てにならないことが判明したのでよけいにその必要性が増しています。
*
と ここまで PCR検査について書いてきましたが、私は PCR検査は感度が不十分なためにスクリーニングには使えないと思っています。
問診や胸部CT などで新型コロナの可能性の高い場合のみに絞って施行するのが感染拡大防止のために(偽陰性を野放しにする可能性を考慮して)適当だと思います。
ただし、早期治療が可能な薬剤が開発された場合は、検査陽性者だけでも早期に処方するために必要であれば、PCR検査を胸部CT をやらないあるいはやっても肺炎所見がない人にもやるべきと思います。
もし薬剤が安価でワクチン以上に安全なものなら、それらしい症状をきたしている人に PCR検査せずに投与するという方策もあるかもしれませんが。
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