*

マンソン孤虫のパパはバカボンのパパなのだ

公開日: : 最終更新日:2014/03/09 画像診断

寄生虫の話を少し。

私は寄生虫疾患が大好きです。

以前ここでも「孤虫の意味を知っているかい」 という記事を書きましたが、その話。

孤虫とは

孤虫は生物学的な分類ではありません。

orphan worm、つまり”親のわからない幼虫”ということです。

素性がわからないので、分類上どこに分類したらわからないので仕方なく名づけただけなんです。

孤児になった複雑な事情

「親がわからないって? 昆虫の幼虫なんかはほおっておいたら自然に成虫になるからすぐわかるのでは?」

と普通の人は思うでしょうが、そんなムシのいい話ではなく、そこは寄生虫ならではのある事情があるのです。

寄生虫には世代によって宿主を変えるものがほとんどなんです。

ある動物からは幼虫しか見つからず、別の動物からは成虫しか見つからない、というわけです。

この両者の親子関係を明らかにするのが至難の業。

マンソン孤虫はヒトが宿主(じつは本来の宿主ではない)。でもその親は不明。なぜなら宿主がわからないので、見つからないのです。

親虫の宿主はヒトでないことはわかっていますが、どの動物なのかわからない。

哺乳類であることが多いですが、そうとも限りません。カニ、昆虫、貝(カタツムリ含む)かもしれないのです。

探しようがないじゃないか~

DNA分析は?

人間なら片親(普通は母)がわかっていて、父親が誰かを特定するのには使えますが、あくまで父親候補が存在してそのDNAが採取できないとわかりません。

存在していないDNAをどうやって調べられるの?

つまりマンソン孤虫の場合には無力。

そもそも有性生殖とは限らないしね。

日本人はすごい

話がそれましたが、マンソン孤虫の親は今ではわかっています。

日本の山田ハカセの功績によってです。

そのへんは以前の「孤虫の意味を知っているかい」 という記事に書いたので、そちらをごらんください。

あらましは・・・

マンソン博士が中国で見つけた寄生虫症に「マンソン孤虫症」と名付けたわけです。

このマンソン孤虫をいろんな動物に植え付けて、最終宿主(イヌ、ネコなど)と親虫を明らかにしたのが日本の山田ハカセ

親虫は未発見の裂頭条虫でした。

通常なら山田裂頭条虫と名付けて、マンソン孤虫症は「山田裂頭条虫幼虫移行症」と改名されるべきでした。

ところが山田博士は自分が最初に発見したその親虫を「マンソン裂頭条虫」と名付けたのです。

バカボンという子供がいて、親を探したところ「バカ田フジ夫」という人が見つかったのに、その親を「バカ田フジ夫」と呼ばず「バカボンのパパ」と名づけたようなもの。

ちょっと違うか。

###

前回とはオチを変えてみました(前回はオチをつけなかったので落ち着けなかった)。

これでいいのだ。

 

関連記事

肺動脈内のガス

* よく見ますよね? 肺動脈内のガス。 ガスと言っても空気でしょうが(時間が経つ

記事を読む

CT を買うときに気をつけるべきこと

* CT を新たに導入するときに気をつけるべきこと。 64列以上のCT(高価!) は心

記事を読む

個人ベースの遠隔画像診断[2] / 専用システムを使う場合

「個人ベースの遠隔画像診断」という記事で、 お金のかからない遠隔画像診断法をご紹介しました。

記事を読む

大学病院の高度医療

* 昔のとある大学病院の話。 外科のQ先生、あちこちの病院で「手術はできません」と言われた患

記事を読む

遠隔画像診断会社 バイト医師

  武士の情けで、どことは書きませんが、ある遠隔画像診断会社の HP にこんなことが

記事を読む

遠隔画像診断の起業(システム選択)

* 遠隔画像診断で起業するためには使うシステムを決めておく方がいいです。 病院主体の場合や下

記事を読む

2015/12/11 画像診断メモノート更新

久々に画像診断メモノートを更新しました。 と言っても、件数は 1532 で 10程度しか増えて

記事を読む

関節のMRIは GE(FE)が基本

最近のMRIで関節(膝・肘・肩・股・手・足)の撮像のとき、やたらめったら 脂肪抑制T2WI FSE

記事を読む

画像診断雑記に新コーナー

* * * 画像診断雑記、新コーナーを作成しました。 興味がある人はどうぞ。 * * *

記事を読む

自信がないので独立しない?

* この前のテラークの飲み会での話題。 実力のある人や、病院では十分力を発揮できないで悩んで

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Zinner症候群

大昔、京都大学の医学部大学院生であったとき(39年ほど前)の話、ある先

白い人が仕掛けた黒い罠:アジアを解放した日本兵は偉かった / 高山正之

★★★☆☆ 著者は元産経新聞記者の高山正之さん。テヘラン・ロ

【AI】Antigravity2.0 で DPI 変換(2)

昨日の記事「【AI】Antigravity2.0 で DPI 変換」の

【AI】Antigravity2.0 で DPI 変換

画像の解像度(DPI)を変換するのには、Photoshop などのソフ

家紋の歴史について

日本の家紋の歴史は、単なる「家のマーク」の歴史ではなく、身分秩序・戦場

→もっと見る

  • アクセスカウンター
PAGE TOP ↑