「パロチンはあります!」とオガタさん(2)
公開日:
:
最終更新日:2014/07/08
医療
前回の記事(「パロチンはあります!」とオガタさん)がなかなか好評なので、ズに乗って、続編を。
存在もしないパロチンが薬として認可された経緯が非常に不透明でミステリアス。
謎というか陰謀のニオイがいくつも存在します。
病理学者が内分泌と老化の研究?
オガタさんは病理学者でした。
当時の病理学の知識で、唾液腺内分泌(唾液腺は外分泌組織)や老化機構などの研究をなさっておいででした。
どうして外分泌腺である唾液腺を顕微鏡で見て”内分泌腺組織に見えた”のでしょうか。
電子顕微鏡は1932年に登場しましたので電子顕微鏡で”分泌顆粒が見えた”のでしょうか。他の人には見えていないのですが。
老化機構の研究といっても・・・細胞老化によってテロメアの意義が再認識されたのはオガタさんの死後ですしね。
どうも当時の”病理学”と”唾液腺内分泌”、”老化機構”の研究が結びつかないのです。私の頭の中では。
甲状腺と唾液腺の混同?
甲状腺は唾液腺と同じく頸部にあります。
甲状腺はれっきとした内分泌臓器で、唾液腺は外分泌臓器という大きな違いがあります。
まさかご本人がうっかり取り違えたという可能性はないでしょうが、甲状腺ホルモンは甲状腺乾燥粉末で経口摂取できるから唾液腺も乾燥粉末にして薬として売れないかと考えた”誰か”がオガタさんを故意にミスリードした可能性はないかと思っています。
甲状腺ホルモン
上のリストを見ますと、日本の主な甲状腺ホルモン製剤は3種類ありますが、そのすべてを武田薬品が販売しています。
パロチンもあすか製薬が製造し、武田薬品が販売。
あすか製薬は 2005年10月帝国臓器製薬とグレラン製薬が合併して発足した会社です。
甲状腺製剤をつくっていた帝国臓器製薬(1920年創設)がオガタさんに「甲状腺にもホルモンがあるのだから唾液腺にもあるのではないか」とよけいなことを耳打ちした可能性はないでしょうか。
パロチンの効能?
添付文書によると、パロチンの効能は初期老人性白内障、進行性指掌角皮症(手荒れ)で効能は二重盲検で確認された、と。
初期老人性白内障は眼科疾患、進行性指掌角皮症は皮膚疾患ですが、病理学者が唾液腺から純粋に想定する疾患とは思えませんね。
邪推すれば、
- 誰か 「白内障患者に効いたら長期的に儲かるな」⇒「唾液腺を乾燥粉末にして老人性白内障患者にのませて進行が抑制できたという実験を行わせてうまくいけばいいな」⇒「白内障に効いたからなんらかの効能物質があるはずですよ、オガタ先生」⇒
- オガタさん「やっぱり唾液腺ホルモンがある!」
という逆の論理(あるいは循環論理)になっていたのではないでしょうか。
二重盲検のお墨付というのもノバルティス社を引き合いに出すまでもなく、製薬会社と医師の癒着で簡単にクリアできます(あるいは統計の処理過程で社員が・・・すれば)。
二重盲検(にじゅうもうけん)ではなく、「自由に儲けん!(じゆうにもうけん)」 の間違いではないでしょうか。
あるいは「医療従事者が盲の検査」という意味の「医従盲検(いじゅうもうけん)」なのかもしれません。
ホルモンは「ほうるもん」?
医学用語のホルモンは内分泌物質。
ホルモン焼きのホルモンの語源は大阪弁の「ほうるもん」とも言われています(最近は偽説とも言われていますが)。
- ほうる=放る=投げ捨てる
- もん=もの
で、捨てるモノの意味。
食肉の解体作業で内臓部分を捨てていたので、内臓を「ほるもん」と言っていたというわけです。
上の説が正しいかどうかとは無関係に、一般に内臓は捨てることが多いので、これを有効に使えばタダ同然で儲かります。
甲状腺ホルモン薬(初期はブタ甲状腺乾燥粉末)を「ほうるもん」から作っていたどこぞの製薬会社はガッポガッポ儲かったことでしょう。
捨てているウシの唾液腺からも薬がとれたらいいな、と思ったどこぞの製薬会社役員もいっぱいいたはずですね。
パロチンと若返り
最近、「パロチン」で検索すると怪しげな健康食品系の会社のサイトばかりヒットします。
- パロチンは存在しません
- パロチンと若返りには何の関係もない(オガタさんと老化研究の関係はありますが)
ので、ご注意ください。
- パロチンは仔牛に多いので、なんらかの成長に関与している
というのももちろんウソですね。
「成長に関与しているので若返りに効く」という論旨もヘンで、成長促進因子であれば細胞分裂を促進し、かえって加齢を促進するような気がしますね。
若返りどころか逆効果ではないかと思います。
まあ、存在しないモノなので心配は不要ですが。
パロチンとパチモン
parotid gland は唾液腺のことです。gland は腺(腺組織)の意味。
唾液腺ホルモン=parotid gland hormone と訳されています(へたに英訳すると世界から注目されて墓穴を掘りそうですが)。
パロチッドホルモンを略してパロチンと命名したようですが、略する部分を変えると パチモン になります。
大阪弁で「パチモン」はニセモノということです。
うーん、奇妙というか絶妙な繋がり。
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