「パロチンはあります!」とオガタさん
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最終更新日:2014/07/08
医療
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幕末の蘭学者で適塾の創始者として有名な緒方洪庵はご存じでしょうか。
その孫に東京帝国大学医科大学(現在の東京大学医学部)教授の緒方知三郎(おがた ともざぶろう)という人がいました。
1973年8月25日に亡くなっています。
病理学者なのですが、耳下腺(および顎下腺)からホルモン(内分泌物質)を発見し、それを唾液腺ホルモン「パロチン」と名付けました。
しかし、「唾液腺にホルモンはない」というのが世界の常識です。当時も今も。
東大名誉教授が発見したという「パロチン」はなぜか日本でのみ薬として認可され、帝国臓器という製薬会社がそれを商品化して、売りまくっていました。
存在しない物質の薬効
「唾液腺にホルモンはない」というのが世界の常識です。少なくても、海外では全く知られておりません。
おかしなことに、存在しない物質に薬効があると厚生省が認めているわけです。
日本での薬の認可というものがいかなるものかをよく教えてくれます。
- 架空のものでも書類が完備していれば認可する
- 一度認可したものを取り消したら、認可(厚生省)が間違っていたことになり、取り消せない
といういつもの流れでしょう。
パロチンの添付文書にある矛盾
パロチンは帝国臓器がなくなった後も武田製薬が販売しています。製造はあすか製薬・・・実は帝国臓器製薬が合併してできた会社です。
そのパロチンの添付文書はなかなか面白いです。
- 「構造式」の項目は「該当資料なし」
- 「分子式及び分子量」の項目も「該当資料なし」
構造式についても分子量についても書かれた論文が存在しないのです。
ホルモンは普通低分子の化合物なので、存在さえすれば簡単にわかるはずです。コードしている DNAの位置までつきとめられていることがほとんどです。
つまり、この添付文書は、パロチンは構造もわからなければもちろん分子量もわからないと白状しているのです。
ウシの唾液腺から製造しているように書いてありますが、構造式も分子量もわからないものをどうやって抽出(分離精製)できたと確信しているのか不思議です。
単にすりつぶして、漉して、粉末にしただけでしょうか。
だけど奇妙なことに、添付文書には「1錠中に唾液腺ホルモン10mgを含む」と明記してあるのです。
構造式も分子量もわからない化合物をどうやって単離して精製して、その分量をどうやって正確に計測したのでしょうか。
「1錠中に乾燥唾液腺粉末10mgを含む」の間違いではないのでしょうか。
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販売している武田製薬は、以前にも薬効のない「ダーゼン」を販売中止にした製薬会社です。
ダーゼンは一応実在する酵素(セラチオペプチダーゼ)をもとにしていますが、薬効がなかったのです。
酵素を服用してもタンパク質なので消化管で分解されてしまい、効果がないことは学生でもわかりそうですが、おかしなことにこれも薬として認可されてしまっているのです。
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東大教授のオガタさんが「パロチンはあります!」と言っていたので誰も文句を言えなかったのでしょう。
そのため何十年も無駄な医療費が費やされてきました。
東大教授でないオボカタさんが「STAP細胞はあります!」と言っている今度の事件(?)はどういう結末になるのでしょうか。
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