所見の書き方 コンテクストについて
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画像診断
肺野では下葉背側に淡い濃度上昇が見られ、重力効果などを疑います。 縦隔・胸壁には特に異常はありません。 胸水は見られません。 胃癌術後、脾摘後、胆摘後です。 明らかな局所再発を疑う所見は認めません。肝嚢胞は不変です。 その他、撮像範囲内の上腹部に新鮮な病的所見は指摘できません。
胸部CTの所見を見ているとき、上のように書かれていると非常に気になりますが、みなさんはどうでしょうか。
読みにくいですよね。
段落をつける
段落をつけるとわかりやすくなります。
肺野では下葉背側に淡い濃度上昇が見られ、重力効果などを疑います。
縦隔・胸壁には特に異常はありません。
胸水は見られません。
胃癌術後、脾摘後、胆摘後です。
明らかな局所再発を疑う所見は認めません。肝嚢胞は不変です。
その他、撮像範囲内の上腹部に新鮮な病的所見は指摘できません。
胸部CT なので、胸部の肺野、縦隔、胸壁、胸腔などの主要な部分について段落をわりふっています。
腹部の所見はまとめて1段落に。
これでもわかりにくい場合は、段落の先頭に空白を1字入れる(一次下げ)とか記号を入れたりします。
肺野では下葉背側に淡い濃度上昇が見られ、重力効果などを疑います。 縦隔・胸壁には特に異常はありません。 胸水は見られません。
胃癌術後、脾摘後、胆摘後です。 明らかな局所再発を疑う所見は認めません。肝嚢胞は不変です。 その他、撮像範囲内の上腹部に新鮮な病的所見は指摘できません。
上のはかえってブサイク?
中丸(・)をうつのはどうでしょう。
・肺野では下葉背側に淡い濃度上昇が見られ、重力効果などを疑います。
・縦隔・胸壁には特に異常はありません。
・胸水は見られません。
・胃癌術後、脾摘後、胆摘後です。 明らかな局所再発を疑う所見は認めません。肝嚢胞は不変です。 その他、撮像範囲内の上腹部に新鮮な病的所見は指摘できません。
こちらのほうがまともですか。
数字をうつ人もいますが、数字の後に空白を一字入れないと見にくいし、その次の行は空白2文字分下げないといけません。
それに数字は「何の順番やねん!」と思う読み手もいるので、私は使いません。
私の方法
私はこうしています。
◇肺野では下葉背側に淡い濃度上昇が見られ、重力効果などを疑います。 ◇縦隔・胸壁には特に異常はありません。 ◇胸水は見られません。 ◆胃癌術後、脾摘後、胆摘後です。 明らかな局所再発を疑う所見は認めません。肝嚢胞は不変です。 その他、撮像範囲内の上腹部に新鮮な病的所見は指摘できません。
異常でない無視していい項目は◇を、重要な項目は◆を段落の先頭につけています。
読む方の手間を考えて、です。
コンテクスト
でもまだダメですね。
私はこう書きます。
◇肺野では下葉背側に淡い濃度上昇が見られ、重力効果などを疑います。
◇縦隔・胸壁には特に異常はありません。
◇胸水は見られません。
◆胃癌術後、脾摘後、胆摘後です。
明らかな局所再発を疑う所見は認めません。
肝嚢胞は不変です。
その他、撮像範囲内の上腹部に新鮮な病的所見は指摘できません。
「明らかな局所再発を疑う所見は認めません。肝嚢胞は不変です。」という行は問題です。
胃癌術後に関する事項(局所再発)とそれ以外の事項(肝嚢胞でっせ!)はコンテクスト上は全く無関係なので別行にします。
最後の行は「胃癌に関する事項・・・転移巣の出現」も内容に含んでいるので、この段落に含んでいます。
最後の行の「その他、」は肝嚢胞のことをふまえて書いているので、肝嚢胞の行もこの段落に含んでいいのです。
腹部の所見を複数段落にわけて書いてもいいのですが、依頼医が胸部専門である場合、腹部のことをダラダラ書いても真剣に読んでくれないかなと思って、腹部は一段落にまとめているわけです。
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