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日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫) / 岡田英弘

公開日: : 最終更新日:2018/07/15 読書

日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫) 日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫)
岡田 英弘
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★★★★☆(岡田史学はオモシロイそしてタメになる)

日本史という歴史には中国史とも西洋史とも違う性格があります。

え、歴史に性格?

歴史は人の言葉による説明なので、語るやつの目的を反映するわけです。事実の説明でないことが多い。

事実というものはあるが、歴史的事実など存在しないわけです。

中国史というのは史記(by 司馬遷)に始まりますが、現在の王朝の正当性を書く(先代の王朝の悪口を書く)のが目的。

西洋史はヒストリアイ(by ヘロドトス)に始まりますが、2つの勢力の勃興と対立、その結果を時間軸にそって書くのが目的。

日本史は白村江の戦いで世界(東アジア世界)と孤立したので大急ぎでしつらえた「うちら、もともと中国はんとは関係ないんどすえ~」という日本書紀が始まり。つじつまを合わせるために公用語も漢字を書き言葉に使うだけではなく、発音記号を発明して従来のやまとことば(土語)を書き記すことができるようにした。

ちなみに朝鮮史の始まりも百済と高句麗を滅ぼした新羅が「うちら、中国はんが勝手にまぜてくれて言ってちょっかいだしてきたけど自分たちだけで統一したんどすえ」というのが始まり。そのときの歴史書はなく、公用語もずっと漢語のままという手抜きだったけどね。

ということで、歴史書には真実が書かれているとは限らないわけで、歴史学者は史料をどういう意図で書かれたか、当時の状況はどうだったかを常に考えて分析していかないといけないという著者の姿勢に深く感動します。

なんだ、「学校で教わった歴史ってウソばっかりじゃん」という感動は要らないけどね。文科省、死ね。

他にも、

  1. 古事記は平安時代初期に作られた
  2. あの時代に聖徳太子はいなかった(いたとしたらもっと後の時代?)
  3. 魏志倭人伝は意図的にウソばっかり書かれている

など緻密な考証で、これでもかこれでもかと執拗に書かれています。

わかりました、もう、わかりました、だから、もう許シーナ。

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