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covid-19 PCR検査の感度問題

公開日: : 最終更新日:2020/05/27 医療

米国内科学会の雑誌に載った論文(Ann Intern Med. May 13, 2020.)でウィルス陽性者の PCR検査の陽性率の経時的変化が示されています。

咽頭から取った採取液を検体にしています。対象は 1330人の患者(ウィルス陽性で発症した者)。

  • 発症前2-4日までは偽陰性率100%
  • 発症前1日の人でも3人中2人が偽陰性
  • 偽陰性率が最も低いのは発症後3日めで 20%
  • その後偽陰性率は緩やかに上昇

ということは、症状のない人を検査しても発症前1日の人の3人のうち1人を陽性としてひっかけることができるだけ

つまり、発症前の人はほとんどが陰性になる(感染したウィルスはすでに体内にあるのに)。この人たちを(検査)陰性と判定してしまう。ウイルス陽性なのに。

◆発症後に咽頭にウィルスが出現し(このウィルスは体内で複製されたウィルス)、その後2週間以上検出される⇒咳、くしゃみ、大声で周囲に撒布されうるということ。
◆この新型コロナウィルスは普通の上気道感染性ウィルスの常識(上気道からウィルスが常時検出されやすい)が通用しないのです。

潜伏期間は1~14日で平均5.8日という報告もありますが、上記の論文では潜伏期間を4日としています。

毎日3人感染が起こると仮定すると、発症前1-4日の患者12人(3×4人)にPCR検査しても1人しか陽性にならないわけです(11人が偽陰性)。

◆感染力は発症 2-3日前がもっとも高い(肺胞や唾液中、咽頭などの少量のウィルスによる?)。検査担当者やそれ以外の被検者に感染してクラスター感染を生じる危険性もあるわけです。

感染ルートを特定するために、発症者と接触した人(症状のない感染者、健康者を含む)にしぼって調べても

  • 症状のない感染者 ⇒ ほとんど偽陰性(上記から 10%未満と推測できる)
  • 健康者 ⇒ 陰性

となってしまうのです。

少数の陽性者のルート(おそらく数%オーダー)は特定できても、その他多数(90%以上?)の感染者を取りこぼし、十分なルート特定はできません

◆このことが PCR検査を必死に行っている外国で死者が増えている一因と思われる。
◆感染ルート特定はどうやっても不可能なのだから、発症者の大量発生ポイントを把握し、死者を減らすために肺炎やその他の重篤な症状をきたしている者を入院加療するという方策を採るのが正解。

つまり、PCR検査は発症するまで待ってから行うのがはるかに効率的なわけです。そうすると、

  • 症状の出た感染者 ⇒ 偽陰性の割合は若干低下
  • 健康者 ⇒ 発症しないので検査の必要なし

ただし、この段階(発症後)でも偽陰性率が 20-66%程度はある(取りこぼす)ことにご注意。

◆医師が「PCR検査が不十分なケース」というのは発症後の人に施行できなかったケースのことであるが、医師でない人が「PCR検査が不十分なケース」というのは発症前の人が施行してもらえないというよけいな部分も含んでいることが多いように思われます。

TV では「検査陰性はウィルス陰性を意味しない」というもっとも根本的なことをまだ理解していない出演者やアナウンサーがいて「早く検査して陰性とわかって安心したいですもんね」と大声でバカであることを公言している人もいます。

検査して陰性であっても安心してはいけないのです。

とにかく、PCR検査の偽陰性率は非常に高いということをまず理解すべしです。

「100%可能(偽陰性率0%)」という技量を誇っていると豪語する玉川徹はアサヒの威信をかけて、米国内科学会の会合に行ってレクチャーしてきてほしいですね。

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