大学病院の高度医療
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昔のとある大学病院の話。
外科のQ先生、あちこちの病院で「手術はできません」と言われた患者の手術をしてくれるというので、名医と慕われて遠方からも患者が来院。
手のつけられないほど広がった癌病巣をすべて取る「超」拡大手術を行うのですね。
こういった患者は 画像診断でわかる転移巣以外にも全身に癌病巣が広がっているので、どんな手術をしても癌のすべてを取ることはできないのです。
つまり、手術適応がない。 というか、手術をすることでかえって余命を縮めてしまうのです。
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実際、Q先生の手にかかると回復室で意識の回復しないまま(「麻酔が覚めない」と婉曲的に麻酔医のせいかもと思わせる表現が使われることも・・・) お亡くなりになったケースが多かったようです。
最悪の場合、手術中に亡くなる、と。
口の悪い同僚は「生体解剖じゃないか」と言っている人もいたようです(思っている人はもっと多かった)。
でも患者の家族は 「これだけしてくれて、だめだったのだから」 と納得されていたようです。感謝さえする家族もあったとか。
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このQ先生、ついに大学病院におれなくなり、ある県立病院に出されました。
そこでも同じ医療をして同じ結果が出たわけですが、それからが違いました。
訴訟沙汰になったのです。
大学病院の医療は高度だから許された、というのは間違っていますね。医療内容は同じだから。
大学病院では患者や家族の「勘違い」が高度だったということでしょう。
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最近は様変わりして、大学病院でも容赦なく訴訟されることが多くなりました。
喜んでいいのか悪いのか。
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