student’s tumor
公開日:
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最終更新日:2016/05/12
画像診断
あるあるネタです。
個人開業医からの紹介で、「肺腫瘍疑い:胸部CTを依頼します」のかなりの部分を占めるのがこれですよね。
親切な開業医からはこういうイラストが紹介状に書いてあったりします(上)。
ああ、またか、とため息をつきながら検査をオーダーするのですが、ほとほと困りますね。
CT のスカウト像
たぶんこれのことでしょう。
該当部分のCT像
そう、「骨化した第一肋軟骨」と「第一肋骨」との関節部にできた骨棘です。
これが尾背側に(結果的に肺内に)突出するので、胸部レ線で肺内腫瘤に見えるわけです。
医学生が胸部レントゲンのクイズでよく間違えるので、student’s tumor という イタい通称がついています。
開業医サイドでも続けて側面レ線を撮れば正診に至りそうなのですが、胸部側面レ線の読影ができない開業医が大半なので強制するのもはばかられます。^^
藤本肇大先生の名著『骨軟部の連想画像診断−画像に見えないものを診る』では12ページに載っています。
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この本では「肋軟骨の骨化は膜内骨化、軟骨内骨化のいずれにもあてはまらない」と書いてありました。なるほど下位の肋軟骨の石灰化(骨化)は形状が男性と女性で全く違いますもんね。
私がこの偉大な本に何か付け加えるとしたら次の質問です。
「骨化した第一肋軟骨の骨棘が決まって肺内に向かって突出するのはなぜか」
ちょっと考えたらわかるので答えは省きますけどね。
考えたことがなかった人は「画像診断は暗記モノ」と思っていませんか? 画像診断はサイエンスかつロジックでしょ?
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