student’s tumor
公開日:
:
最終更新日:2016/05/12
画像診断
あるあるネタです。
個人開業医からの紹介で、「肺腫瘍疑い:胸部CTを依頼します」のかなりの部分を占めるのがこれですよね。
親切な開業医からはこういうイラストが紹介状に書いてあったりします(上)。
ああ、またか、とため息をつきながら検査をオーダーするのですが、ほとほと困りますね。
CT のスカウト像
たぶんこれのことでしょう。
該当部分のCT像
そう、「骨化した第一肋軟骨」と「第一肋骨」との関節部にできた骨棘です。
これが尾背側に(結果的に肺内に)突出するので、胸部レ線で肺内腫瘤に見えるわけです。
医学生が胸部レントゲンのクイズでよく間違えるので、student’s tumor という イタい通称がついています。
開業医サイドでも続けて側面レ線を撮れば正診に至りそうなのですが、胸部側面レ線の読影ができない開業医が大半なので強制するのもはばかられます。^^
藤本肇大先生の名著『骨軟部の連想画像診断−画像に見えないものを診る』では12ページに載っています。
![]() |
骨軟部の連想画像診断−画像に見えないものを診る 藤本 肇 メジカルビュー社 2016-03-30 売り上げランキング : 137213 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この本では「肋軟骨の骨化は膜内骨化、軟骨内骨化のいずれにもあてはまらない」と書いてありました。なるほど下位の肋軟骨の石灰化(骨化)は形状が男性と女性で全く違いますもんね。
私がこの偉大な本に何か付け加えるとしたら次の質問です。
「骨化した第一肋軟骨の骨棘が決まって肺内に向かって突出するのはなぜか」
ちょっと考えたらわかるので答えは省きますけどね。
考えたことがなかった人は「画像診断は暗記モノ」と思っていませんか? 画像診断はサイエンスかつロジックでしょ?
###
関連記事
-
-
インターネットビジネス講座
* この前申し込んだのはアフィリエイトの講座。 インターネットビジネスの講座は私は今まで2つ申
-
-
これから遠隔画像診断を始める人のために
2010.12.18 本日、大阪で行われたイーサイトヘルスケア社主催のクラウド型遠隔画
-
-
自信がないので独立しない?
* この前のテラークの飲み会での話題。 実力のある人や、病院では十分力を発揮できないで悩んで
-
-
久々の非クラウド遠隔画像診断システム
高槻遠隔画像診断センターで新しい仕事が始まりました。 今てんやわんやです。 非クラウドシステム
-
-
ゴーンの初期変化群 Ghon’s complex
ゴーンが出廷したとのニュースが街を賑わした昨日、セカンドオピニオンの患者さんが持ってきた胸部レントゲ
-
-
ふざけた遠隔画像診断システム(続き)
* 患者リストから患者を選択 数秒~数十秒待たされる 患者画面から「読影」を選択
-
-
石綿肺の間違った使い方
石綿肺(アスベスト肺)とは、アスベストの高濃度曝露によって発生する塵肺のことです。 病理組織学
-
-
これは便利なサービス「データ便」
* いくつかの内科開業医さんからの DICOMファイルの受け渡しは、私の借りているレンタルサー