継ぎ足しのタレが腐らないのはなぜ

継ぎ足しのタレが腐らないのはなぜ

以前から不思議に思っていました。

調べてみると、うなぎ屋などで使われる「継ぎ足しのタレ」が長年腐敗しないのは、主に糖分・塩分による菌の増殖抑制、繰り返しの加熱、そしてタレの入れ替わりによるものです。

菌は存在しても、繁殖して腐敗しないのはなぜか、よく知りませんでした。
てっきり、発酵しているもんだと思っている人もいるかも。

1. 糖分と塩分が菌の繁殖を抑える

うなぎのタレには、醤油、砂糖、みりんなどが使われています。

これらに含まれる糖分や塩分には、微生物が利用できる水分を減らす働きがあります。

  • 砂糖: 水分活性を下げ、微生物が増殖しにくい環境を作る。

  • 塩分: 微生物に浸透圧ストレスを与え、多くの腐敗菌の増殖を抑える。

  • 濃縮: 煮詰めることで水分が減り、糖分や塩分の濃度が高まる。

ジャムや塩漬け食品が比較的保存しやすいのも、同様の原理です。

ただし、うなぎのタレの糖分・塩分濃度は店や製法によって異なり、それだけで安全性が保証されるわけではありません。

2. 繰り返し加熱することで菌を減らしている

タレを加熱すると、多くの細菌は死滅します。

うなぎ屋では、タレを煮直したり、加熱したタレを補充したりすることで、微生物の増殖を抑えられます。

厚生労働省の外食向け衛生管理資料でも、継ぎ足しのタレについて、基本的には毎日の加熱殺菌が必要とされています。

ただし、熱に強い芽胞を作る細菌や、加熱しても分解されにくい毒素が存在するため、加熱すれば必ず安全になるわけではありません。
3. 継ぎ足しによって古いタレが入れ替わる

ここが継ぎ足しのタレの興味深いところです。

例えば、タレが10リットル入っている容器から、毎日半分を使用して、同じ量の新しいタレを補充するとします。
均一に混ざっていると仮定すると、最初のタレが残る割合は次のようになります。

経過日数 最初のタレの残存率
1日後 50%
2日後 25%
3日後 12.5%
5日後 約3.1%
10日後 約0.098%
20日後 約0.000095%

つまり、何十年も継ぎ足しているタレでも、創業当時のタレが大量に残っているわけではありません。

ただし、実際の残存率は使用量や補充頻度、混ざり方によって異なります。

また、継ぎ足し自体には殺菌効果がないため、新しいタレで薄まるだけでは安全は保証されません。

4. そもそも腐敗菌が活発に繁殖できない

菌が存在していても、必ずしも腐敗が起こるわけではありません。

腐敗には、微生物が増殖し、食品中の成分を分解することが関係します。

タレの中では、次のような条件が重なることで増殖が抑制されます。

  • 高い糖分・塩分濃度

  • 加熱による菌数の減少

  • タレの酸性度

厚生労働省の資料には、うなぎのタレのpHの参考値として4.5〜4.7が示されています。

このような条件では、一般的な腐敗菌が増殖しにくくなります。

一方、糖分や塩分に強い酵母やカビなどは増殖する場合があります。

したがって、菌が存在する可能性はあっても、必ずしも活発に繁殖しているとは限りません。

5. 実は「腐敗しない」のではなく、衛生管理によって腐敗を防いでいる

継ぎ足しのタレに関する誤解

よくある認識 実際
古いタレには菌がいない 菌が存在する可能性はある
塩分と糖分で完全に殺菌される 主に増殖を抑制する
毎日加熱すれば絶対に安全 耐熱性の芽胞や毒素には注意が必要
継ぎ足せば腐敗しない 適切な衛生管理が必要
何十年も前のタレがそのまま残っている 使用と補充によって徐々に入れ替わる

厚生労働省は、継ぎ足しを行う際の管理事項として、定期的な廃棄や容器の洗浄・殺菌、微生物検査などを挙げています。

つまり、適切に管理された継ぎ足しのタレは、安全な状態を維持できますが、放置しても腐らない魔法の液体ではありません。

結論

結論: うなぎ屋の継ぎ足しのタレが長期間使えるのは、糖分・塩分・酸性度などによって菌が増殖しにくい環境を作り、さらに加熱や衛生管理によって腐敗を防いでいるためです。

なお、腐敗臭やカビが見られなくても、食中毒菌や毒素が存在する可能性はあります。「腐っていないこと」と「安全であること」は、必ずしも同じではありません。


いや、勉強になりました。

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