バカと無知 / 橘玲 (3)
公開日:
:
最終更新日:2022/11/08
読書
「バカと無知 / 橘玲 (1)」、「バカと無知 / 橘玲 (2)」の続きですが、23ページに
進化の大半を占める旧石器時代には、人類は30-50人程度の小集団(バンド)で狩猟・採集生活を送り、150人を上限とする(誰もが顔見知りの)共同体(クラン)のなかで暮らしていた。こうした共同体がいくつか集まったのが最大で 1500人ほどの部族(トライブ)で、この同族集団の中で婚姻を行っていたようだ。
とあります。
この記述は他の本でも見たことがあり、定説になりつつあると思います。
脳の構造上の制限からくる現象なのですね。
*
ここからは私の感想ですが・・・
狩猟のような互いに命を預け合うような濃密な集団(バンド)は最近あまりないかもしれませんが、最近の義務教育の学級の人員が 40-50人であるのは担任の先生にとっては案外適切なのかもしれません。
人間関係の濃厚なクランが 150人というのも、Facebook の友達の適正数がそれくらいのような感じで、私の感覚にはフィットします。150人と言っても、自分と誰かの関係なら 150個の場合を想定すればいいわけですが、自分以外の対人関係は 150*149/2-150=11020 通りもあるわけですから、策士になろうとするのはかなりホネが折れそうです。
しかし、まあ深いことを考えずに自分との関係を考えるだけだと 150通りですむので、関係を保つのにはそれほど困難ではないかもしれません。
1500人の部族というのはかなり大きな集団で、全員顔見知りというのは無理でしょう。ただ、クランが10個であって、各クランが 1割程度の指導グループで運営されているとすれば、部族を 150人の代表者で運営していると言ってもいいわけで、部族運営は案外うまくいきそうな感じがします。
*
とここまでは文字を持たない旧石器時代の話。
部族以上の人数の集団(1500人以上)は、文字があれば法律などのルールが明確に規定できるので統治が可能であることは現代社会が証明しています。
文字がなくても(話し言葉だけでも)、宗教や神話や土地のしきたりなどのツールを使えばより多くの人数からなる共同体を作ることが可能です。
同じ宗教を信じるものだけなら何億人あるいはそれ以上という集団を作ることは可能で、実例もありますよね。
神話で互いの祖先が同じという話を捏造すれば、何人でも「血縁」集団を大きくできます。
土地のしきたり(慣習や風習、村の掟など)はそこに住む人に「常識」という縛りをかけてくれるので、わざわざそれとは別のツールを導入する必要はありません。ただし、比較的狭くて異質な人の頻回な侵入がないような土地に限ります。
たとえば、日本は教育などで日本人としての常識というのが結構効いているためか宗教の必要性があまりありません。
イギリスも島国でかつ歴史が長いのでこういう慣習が社会の基盤となっているために、法律を簡素にすることが可能です(成文法でなく慣習法を採用できる)。
*
ということで、宗教や神話や土地のしきたりなどは 対人関係の構築や維持を容易にしてくれるツールなのだと納得いたしました。
このあたりが、人類(特に島国以外の集団)が宗教、神話などを必要とした理由なんでしょうね。
あ、以上は私のただの妄想ですけど。
関連記事
###
関連記事
-
兵頭二十八の防衛白書2016
兵頭二十八の防衛白書2016 posted with amazlet at 1
-
春秋の名君 (講談社文庫) / 宮城谷昌光
春秋の名君 (講談社文庫) 宮城谷 昌光 講談社 1999-09-06 売り上げ
-
漢字の名人 / 神辺四郎
★★★☆☆ 神辺(こうのべ)四郎さんの 1992年の本(祥伝社のノン・ポシェット文庫)
-
トランプノミクス / 宮崎正弘
トランプノミクス 日本再生、米国・ロシア復活、中国・EU沈没 posted w
-
【勝率87.5%】鉄壁FX 月収35万ディフェンス強すぎトレード / 笹田喬志
★★★★☆ 新刊です。 本日帰り道にあるジュンク堂で見かけて買いました。
-
「超一流」の整理術 / 中谷 彰宏
「超一流」の整理術 一流の常識を破る5「超一流」の整理術 中谷 彰宏
-
ものを考える人考えない人―新・知的生活の方法 / 渡部 昇一
ものを考える人考えない人―新・知的生活の方法 渡部 昇一 三笠書房
-
見抜く経済学 / 渡邉哲也(2)
見抜く経済学 渡邉 哲也 かんき出版 2014-02-19 売り上げランキング
-
本当はヤバくない日本経済 破綻を望む面妖な人々
本当はヤバくない日本経済 破綻を望む面妖な人々 三橋貴明 幻冬舎 2
-
儲けを生み出す!ビジネスブログ成功の秘訣 / 前野智純
儲けを生み出す!ビジネスブログ成功の秘訣 前野 智純 エクストラコミュニケーシ