遠隔画像診断で画像診断管理加算はとれません というか とってはダメです
遠隔画像診断で画像診断管理加算はとれません
今、我々の業界で話題になっているのがこれ。
今度の診療報酬改訂で、
「遠隔画像診断の企業を利用していると画像診断管理加算(1&2)はとれません」
となりました。
*
画像診断管理加算は、院内で厳密に画像やその読影結果を管理して正しく活用しているときに、ご褒美としてもらえる加算です。
この加算金額でさらに体制を強化(常勤放射線科医を雇うなど)してくださいという意味の補助金です。
*
そもそも外部の機関に遠隔画像診断を依頼しているという事態であること自体が、画像診断管理加算など取れる状態にない(院内のリソースが不十分である)ことを意味しています。
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私のところの顧客病院には問い合わせがあった場合は、以前から
画像診断管理加算を取るお手伝いはいたしません。もし取る場合は自己責任でお願いします
と言ってきました。
今回の騒動で、常勤医がいて画像診断管理加算2(金額の大きい方)は取っていないが1(金額の小さい方)を取っていた病院から1件問いあわせがあったくらいで、他の顧客からの質問はいまのところありません。
画像診断管理加算は常勤医にとって有益?
私は以前から、画像診断管理加算などとると、常勤医の余計な仕事が増えてかえって有害だと思っています。
オーバーワークになり、身体や精神に負担がかかります。
そういう病院からは放射線科医は逃げ出したほうがいいのかもしれません。
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遠隔画像診断で画像診断管理加算はとれません というか とってはダメです(3)
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Comment
遠隔画像診断で画像診断管理加算はとれません というか とってはダメです
についてですが、、、
個人契約(会社や企業ではなくあくまで一個人として)で遠隔画像をする分には加算がとれる気がするのですがどうでしょう?
または読影に対する対価としてお金を払うのではなく、あくまで遠隔読影システムを利用する事に対してお金を払う事にすれば問題ない気もしますが、、(個人とは無料あるいはタダ同然で遠隔読影するという契約にして、システム利用料を支払う)
岩崎康です。
個人契約であれば、病院を訪問して所見をつける非常勤医(バイト)と同じ扱いになると思われます。
ただ、自宅勤務を許すかどうかは厚生労働省の考えによります。
また、管理加算の主旨は「あくまで院内の読影および画像管理の体制を整えたことに対する報償」でしょうから、今度は「非常勤医を院内のリソースとみなすかどうか」が焦点とされます。
院内の常勤医が非常勤医のつけた所見の内容まで院内の他科の医師の質疑に十分応えられるかどうかということが問われるようになると、今度は
「非常勤医を雇っている病院は対象からはずす」
という事態になるかもしれません。
しばらくは大丈夫でも、そのような病院が増えてくると、規制される可能性があると思います。
主旨とはずれた方向でもなんとしてでも加算をとるという行為は、雪印の食肉偽装補助金詐取問題と同じような根を持っていると考えられませんでしょうか。
返信有難うございます。
法律の目をかいくぐるようなことは危ないですね。
教えていただきたいのですが、今回の改正で、遠隔画像でも加算自体は取れるという記述はあると思います。(もちろん会社に委託するのはダメですが)
http://www.nmp.co.jp/member/note/main346_a.html
第四部 6の部分
これは具体的にはどういうケースをいうのでしょうか?常勤医が、家で遠隔システムを使ったりするぶんには問題ないのでしょうか??
岩崎康です。
これは以前からある、離島とかの場合です。
読影医が常駐できそうにない遠隔地の医療施設と、認定を受けた地域の中核病院(読影医が常勤でいる)との間で行われる公的なものです。
重要なポイントは遠隔画像診断を受ける施設が病院(保険診療を行う病院)であること。
私的な遠隔画像診断会社では行えないはずです。
>常勤医が、家で遠隔システムを使ったりするぶんには問題ないのでしょうか??
中核病院の業務として行われるわけで、設定当時の常識では通常は病院内で所見をつけることしか想定されていなかった
ように思います。
現状では、中核病院に勤めている医師が自宅で所見をつけても大丈夫なように思われますが、実際どうなのかは存じません。
もちろん、この中核病院と何の関係もない医師が自宅でつけてもこの加算はとれません。
岩崎先生どうもありがとうございます。大変参考になります。
バイトで読影に行っているのですが、そのうちそれも加算がダメになってしまいそうな感じですね。
今回の改訂で、一番問題なのは、常勤放射線科医師がいる病院で、遠隔読影を併用して加算をとっていた病院ではないかと個人的に考えています。
常勤医がいる病院で、常勤医がやりきれない検査について遠隔読影を依頼して、加算をとっていた病院はかなり打撃をうける改訂にみえます。
そもそも一人ではやりきれない検査を遠隔で助けてもらう目的に利用していたものが使えなくなるならば、一人部長の放射線科医師は、やめてしまうのではないかと思います。結局、放射線科が病院からいなくなり、放射線科医が集まってグループを作り直接バイトに行くなり、遠隔読影をするほうが賢い選択になってしまいそうに見えます。
加算はとれなくても、検査代自体は結構高額ですし、それでも採算がとれてしまうのではないでしょうか?
そしてもっとも自分が悲しいと思うのは、常勤の放射線科医がいなくなってしまっても世間への影響力は非常に低いことです。
読影加算とは必要悪なのではないかと常々思います。加算2をとるにはそれなりに仕事を頑張らなければならず、自分で自分の首を絞めているのではないかと思います。
岩崎康です。
管理加算なんて額からいくとたいしたものではありませんが、ないよりはマシですから、病院からするとありがたいものなんでしょう。
常勤医にとっては「私(たち)がいるから病院にこれが入るんだ」と存在意義の一つ(only one なら悲しいですが)みたいに思える心のよりどころなのかもしれません。
でもこれを取るために常勤医は無駄な努力と貴重な時間を費やしている面もあります。
放射線科医の中でも評価は分かれていますね。
こんな管理加算以外のところでの評価を上げたいものです。