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ワクチン、ワクチンと言うけれど

公開日: : 最終更新日:2020/05/12 医療

ワクチンは治療薬ではありません

PCR 検査をすれば新型コロナかどうか 100%わかると考えている人はだいぶ減りましたが、ワクチンができればすべて治ると思っている人がいるようです。

そう言えば、昔のマンガで感染症が発生してワクチンを射って死にそうな患者が治るというストーリーのものがありましたね。シリアスな場面なのに思わず笑ってしまいました。

ご存じでない方もいるのかもしれませんが、ワクチンは治療薬でなく、予防薬です。

その病原体に感染しているのにワクチン(たいていその病原体を弱らせたか不活化させたりしたもの)を投与しても、首をくくりかけている患者の足を引っ張るようなもので逆効果です。

ワクチンが治療薬でなく予防薬であることを知っていてもワクチンで 100% 防げる(根絶できる)と思っている人もいるようですが、100% は予防できません。

ウィルス性疾患に対する治療薬

治療薬とはウィルスに対するものとウィルスの惹起する病態(肺炎、その他の臓器障害、サイトカインストーム、血栓症など)に対するものとがあります。

ウィルスに対するものとしては

  • ウィルスを不活化(抗体療法など)
  • ウィルスが細胞内に侵入することを阻害するもの(ウィルスの表面タンパクや細胞のレセプターなどを阻害する)
  • 細胞内でのウィルスの複製を阻害するもの(RNA/DNA 合成阻害など)
  • 細胞外に複製されたウィルスを放出させないようにするもの(インフルエンザでのノイラミニダーゼ阻害)

あと、作用機序のはっきりしないものもあり、上記以外の作用機序で働くものもあるかもしれません。

薬というものは作用機序が1つと限りませんので、複数の作用機序があるものもあります。

最後にもう一度

ワクチンは予防のために予め自前の抗体を作っておくためのものです(あるいは免疫記憶をつけておいて即座に必要な抗体を作れるように準備させるものです)。

かかってから使っても有害無益。

シロウトのコメンテーターや MC がしたり顔で「ワクチンが特効薬」とか「ワクチンで治療する」とか言ったときには、後ろ指をさして笑ってあげてください

ここで一句。

ワイドショー 歪度を競う ただのショー

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